3.傾斜薄膜法による不安定核の偏極生成

高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究所が協力して建設した短寿命核ビー ム施設 TRIACが2005年度に稼働を始めた。質量数130程度の閉殻近傍の核に対し て偏極遅発分光法(上記1参照)を適用するための技術的開発を、当研究室出身 の研究員を中心とするKEKのグループと共同で進めてきた。2005年度は、傾いた 薄膜に核ビームを通過させることによって核スピンを偏極させる傾斜薄膜法を試 み、8Li に対して数%の偏極を得ることに成功した。



4.高スピンシェイプアイソマーの探査

重イオン反応より原子核の高スピン状態を生成し、イラスト状態(ある角運動量で最もエネルギーの低い状態)近傍の原子核の構造をガンマ線核分光の手法を用いて研究している。特に、高スピンのアイソマー状態(周囲の状態と比較して、その構造が極端に異なるために崩壊できず、寿命を持った状態)に注目している。中性子数83同調体には励起エネルギーおよそ9MeV付近に49/2+(奇核)、27+(奇奇核)という高スピンで寿命が10ナノ秒から数マイクロ秒というアイソマーが存在し、系統的に研究してきた。これらアイソマーは原子核の形が球形からオブレートに大きく変化したために生じた高スピンシェイプアイソマーである。最近では、中性子数51同調体で同様な生成機構をもつアイソマー探査も行っている。 2005年度から阪大核物理研究センター(RCNP)において、高スピンアイソマー探 査実験を開始した。2005年12月に151Erの高スピンアイソマー、更に、2006年1月 に学部4年生の卒業研究実験として、中性子数51同調体近傍の高スピンアイソ マー探査実験を行った。現在、データは解析中であるが、前者はすでに他のグルー プから報告されている高スピンアイソマーのスピンが変更される可能性を示して いる。また、後者の実験では、新しいアイソマーの存在の可能性があり、2006年 度以降の実験で確認する予定である。

図1 中性子数83同調体の高スピンアイソマーのシステマティクス
図2 中性子数83同調体の高スピンアイソマーのシステマティクス
図3 RCNP実験におけるセットアップ


COE 2006 夏の学校 (ポスター発表)
中性子数51近傍の原子核における高スピン状態の研究 1 (増江)
ポスター(pdf)、原稿(pdf)

中性子数51近傍の原子核における高スピン状態の研究 2 (堀)
ポスター(pdf)、原稿(pdf)



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